第7回 bucca展 - bucca ページ！

第7回 bucca展

　　　　　会期　2021年11月8日(月)～13日(土) [ 初日: 12-17時, 最終日: 11-17時

　　　　　場所　3331Arts Chiyoda(地下一階104) 東京都千代田区外神田6-11-4　

出展作品（50音順）　　　< 作品名◆ 書名◆ 著（編）者名◆ 発行所◆ 作者名◆ 職業◆ 制作意図・解説 >

神様との繋がり◆神様の御用人◆浅葉なつ◆メディアワークス◆Agashi ◆教える人◆ほとんどの人にとって神様は目に見えない存在。だから名を付け文字で表すことで実感する我々は赤い糸で八百万の神々と繋がっているかも。何千年もの間、人の子の願いを聞き続けている神様。きっと悩みの一つや二つあるのでは。神様達に敬意を！

紙一蝶◆Butterfly［蝶］◆藍風館 ◆大前正則◆PA-PE-Ra吉原順一◆ブック・デザイナー／ペーパークラフト・デザイナー ◆ 鮮やかな色彩と華やかな造形美で、時代を超えて画題に意匠にと様々に愛されてきた蝶たち142匹を包むのは紙一枚。パペラの紙技で切り込み組み立て、ふわりと立ち上がらせました。

極楽浄土を象徴する蓮華に包まれて◆仏像の見方ハンドブック◆石井亜矢子◆池田書店◆Ringorin◆フローリスト◆仏像を大切に包みように蓮の花を思い立ち土佐和紙を使用し、彩色後エンボサツールで凸凹を出し仏教と共に伝来した袈裟をしまう時使用する「華髪結び」を蓮の花芯を添えた。

BUNBOOGUN ◆暮らしの図鑑文房具 16人の手帳・ノート・文具の楽しみ×女子の新定番×基礎知識◆翔泳社◆Fancy Man SowTAKEDA◆ダダダ駄ダダダダだダダダ！快感ッある日、文具店で出逢ってしまったガトリングの弾…そう、スティックのり。ありふれたものだがそれから文具店に行くたび妄想が止まらない。これがあれで、あれがこれで～ムフフな日々。文房具を買い漁る日々。カラフルな文房具に囲まれる日々の中…どんどん妄想が広がり

シャボン玉の中に…。◆ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集◆斉藤倫 ◆福音館書店◆有泉仁見◆アートセラピスト◆ 子どもの頃、田舎のおばあちゃんの家で過ごした夏休み中読みふけっていた一冊の詩集。その時の感動、夏の青い空、蝉の声、幼い従弟のあどけない笑顔。この本はそんなことを思い出させる。あの日、あの時は、気が付けばまるでシャボン玉のように消えている。けれど、全てがキラキラと輝く一瞬という時の中、永遠に存在しているのだ。そして、子どもたちは扉の向こうへと進んでいく。

「名づけられないもの」に名づけられない◆名づけられないもの◆サミュエル・ベケット◆河出書房新社 ◆石川勝一 ◆版画家◆「私は語れないことについて語らなければならないだろうし・・・」とベケットは書いている。物語のないこの本は小説と言えるだろうか。真っ黒い色にはあらゆる色彩が、言葉が吸収されており、また放出している。そんなイメージを表現した。

選択◆梟の城 ◆司馬遼太郎◆新潮文庫◆児玉詠美◆医療従事者◆乱世の世、家族だけでなく自らの命にも無頓着であり、無心に任務をこなすのみの忍者。それに違和感を覚え、人との関わりに重きを置いた主人公。回りとは違えど信念を貫く姿に感銘を受けました。忍者好きなことはもちろんです！

私達は今何処に？◆変身◆カフカ◆新潮社◆忍足博子◆アーティスト◆見えているようで見えない世界。開けられるようで開けられない世界。孤独・矛盾・不条理を凝縮したような世界。心に刺さる一冊。正に今の世界に通じるものありです。「外からは開かれても、内側からは開けられない」そのモヤモヤを単純な型で表現してみました。

2021年にサイバーパンクを想う◆『ニューロマンサー』◆ウィリアム・ギブソン◆早川書房◆唐澤亜紀◆ブックデザイナー◆電脳空間という非現実と現実世界の新たな関係性を構築した金字塔的SF作品。「サイバーパンク」分野の起源ともいわれる。80年代後半に初めて読んだ時はコンピュータに触れたこともなく理解が追いつかないことだらけだったが、2021年の私たちはもう本書の世界のすぐそばまで来ているらしい。今回読み直したらイメージしやすくて驚いた。ディストピアでもユートピアでもない未来の形に思いを馳せた。

木陰と日向◆論語知らずの論語読み◆阿川弘之◆講談社◆窪坂雄志◆文化財発掘調査補助員◆論語は知りません、と言う人がいます。私もそのひとりですが、日常の会話の中で時々耳にする言葉であるようです。ちょっとどこかで読んでみましょうか。

瞬く風 the wind which twinklegraphic◆splendeurs de la RENAISSANCE◆j.h.plumb◆アシェット社◆久保和正◆デザイナー・コラージュアーティスト◆歴史を振り返ると、14世紀ルネサンス期の前に現在のコロナウイルスの状況と近似するペストの大流行があった。数千万人の死者を出し、宗教など価値観をひっくり返すような時期を超えた後、再生ルネサンスが生まれ素晴らしい芸術が生まれた。現実からの距離感、謎、複眼、詩情を加え、さらに明るい未来の願いを込め、制作した。

矢印の先っぽの国・2021年◆星からおちた小さな人◆佐藤さとる◆講談社◆児玉小百合◆カンドママ◆ここは2021年の矢印の先っぽのコロボックル小国です。本の出版から40年が過ぎて、人間の何倍ものスピードで進化する彼らはものものしい装置をつけずに鳥のように空を飛べます。そして体に備わっているweb受信システムのようなものを使い世界中のシステムとつながっているのです。あの世界的有名企業も気付かぬうちに取引先です。昔からの自然環境を大切にして生活のすべては人間もお手本の事ばかりです。

ローブ・ドゥ・ソワレ◆Black in Fashion◆Valerie Mendes◆V&A Publications◆後藤綺子◆カルトナージュ作家◆日常着に、おしゃれ着にあるいは喪服にとどんな場においても着る人を最高に美しく引き立てたり、着ていることを忘れさせてくれるほど気持ちに寄り添う黒のファッション。だからこそ多くのデザイナーの創造意欲をかき立てるのだろう。この本が私にインスピレーションを与えたのは手作りの芸術品のような黒のオートクチュールのドレス。その黑のドレスをbuccaで着せてみたかった。

あれか・・・これか◆人生の智慧キルケゴールの言葉◆大谷愛人◆やよい書房◆杉山輝之◆自由業◆平面と立体の中間にある半立体レリーフに、北斎の顔、中国の形と形の連続の表現を発展させた作品と金属の表現に、今回はためしてみました。

Who!？写楽◆写楽仮名の悲劇◆梅原猛◆新潮社◆鈴木昇岳◆Sumi アーティスト◆写楽その名は日本のみならず世界に有名な号である。しかし写楽とはいったい誰だ？江戸寛永６年（1794年）突如として現れ、一年も満たない期間で姿を消している。果たして誰が写楽を名乗っていたのか？北斎・歌麿・豊国、他諸々。ぜひあなたもこのミステリーをたのしんでみては如何でしょうか。

土に森に還る◆風の谷のナウシカ◆宮崎駿◆徳間書店◆大悟法淳一◆エディトリアルデザイナー◆コロナ禍のマスク社会になり、『ナウシカ』の世界を思い出しました。汚染された大地には「腐海」という菌類の森が拡がり、「蟲」と呼ばれる昆虫に似た巨大生物たちが生息します。菌類が放出する「瘴気」は、蟲たち以外には猛毒のガスです。

ありがとうピアソラ◆アストル・ピアソラ闘うタンゴ ◆斎藤充正◆青土社◆田口加代子◆グラフィック・デザイナー◆ アストル・ピアソラ。この人の音楽ともし出会わなかったら自分は一体何をしていたのだろう。聴き、バンドネオンを練習し演奏する。このたくさんの時間とエネルギーを何に使っていたのか想像もできません。ピアソラさん、ありがとう！

携帯されるシーシュポス◆シーシュポスの神話◆カミュ Albert Camus◆清水徹◆新潮社◆竹内徳子◆画家◆インターネットのかけらもなかった頃に発売され、購入し、常に持ち歩いていた本がある。変色としみは、全ページに拡がっている。巻末の付録は、ごっそりと失われている。背表紙の擦れは、持ち歩かれていた時間を物語る。読みものとしての機能を失いつつある本、それでも持ち歩くことを続けるためにブックカバーと姿を変える。シーシュポスを添えて。物質と時間とそれを目撃する自分との関係性を表す。

はかなきもの◆FRAGILE ふらじいる・壊れもの◆吉野けいこ◆平河工業社◆タチアキヒロ◆創作ダンサー◆こわれたもの　こわれてゆくもの　そのオマージュ

まことの花◆世阿弥のことば 100選◆山中玲子◆楡書店◆田村佐知子◆アーティスト◆まことの花は透んでいて、もろく危うくを孕んだもの。熱いガラスを引っ張って伸ばしたりしてまことの花をガラスの花でイメージをしました。シルバーの球体は初心を表しています。世阿弥のことばはこの世（現代）に於いても心の友（ami）。ことばとして大切に生き続けています。

束縛◆「空気」の研究◆山本七平◆文藝春秋◆知活人（ちいきじん）◆「知」の表現活動集団◆いわゆる「空気」というものは読むことができます。ただ、空気を読むことで実は何かに縛られていると感じる時もあります｡昨今のSNSの普及、そしてコロナ渦。いまこそが「空気」というものの存在を再認識すべきよい機会ではないでしょうか。あらゆる真実をいとも簡単に消し去るその強靭さ。決して誰も逃れることのできない拘束力。そんな「空気」の姿を意識してみました｡

物語の反抗◆植物たちのグリム童話◆グリム童話◆平凡社◆中路保美◆ドールハウス作家◆読まずに忘れられ、本棚に眠っていた本が物語の魔法の力を借りて自らを封印してしまった／この魔法を解くには・・・。

大地の教え「レニアラ」 ◆地球遺産巨樹バオバ ◆吉田繁（写真）蟹江節子（文）◆講談社◆古谷緋龍◆monochrom artist ◆『バオバブは地球が生き残れるかの指標だ』と写真家の吉田氏は言う。神様が逆さまに植えた木と言われるバオバブを通して、木と水と生命の大切さを『大地の教え』として、木、アクリル、ガラスで表現した作品である。

全集をかかえて街に出よう “紙袋装本” ◆筑摩文学体系　坂口安吾集開高健・大江健三郎集◆筑摩書房◆丸尾靖子◆グラフィック・デザイナー◆とかく重いと敬遠されがちな紙の本。表紙を紙袋的に作ることで持ち運びしやすく。試作はフランス装をソデまでのばしたような形でしたがうまく仕上がらず。本表紙を折り込みかつ、袋状に。持ち手を本体にさしこむのりしろ部分と持ち手部分に斤量違いで分けた。折りたたみやすいように縫ってつなげ本の持つ糸感覚もプラスできたと思う。

自然の手仕事◆The Sense of Wonder◆レイチェル・カーソン◆新潮社◆五十嵐美紀◆インテリアコーディネーター◆センスオフワンダー＝神秘さや不思議さに目を見張る感性。コロナ禍で外出自粛強いられてきましたが、解除された今、自然の神秘さを改めて感じる旅に出たいと思いました。幼少期、わざと雨に濡れて帰った時に何とも言えない高揚感。知ることは感じることの半分も重要ではないと感じさせてくれる一冊です。

絵本10巻入り四方帙（しほうちつ）◆しすいみんわ絵本①～⑩ ◆酒々井町百話検討会◆千葉県印旛郡酒々井町◆宮坂佳枝◆ブックデザイナー◆日本には昔から、書物を包み保護するための「書帙（しょちつ）」というものがありました。今回私が制作したのは、書籍を四方から包むので「四方帙（しほうちつ）」といいます。厚紙をつなぎ合わせ、布や紙を貼り、「こはぜ」という爪で留めるのが主流のようです。ぜひ、こちらの爪をはずしていただき、上蓋と中蓋も開いて、中まで御覧下さいませ。

ジェンダーの檻を超えて◆gender beyond memory ジェンダー記憶の淵から（現代女性作家展）1996◆東京都写真美術館◆村上華牛◆和紙造形作家◆ジェンダーについて考察することは現在を問うことー社会的、文化的に作られた性差を超えて自由になりたい。針金で作ったオブジェはアンドロジナスであり、頭部は鳥類である。メタルパーツで立ち上がり横たえることもできる。檻の箱部分は金網を成型し、楮をかけて黒で染色した。

めんどくさくてもどかしいBOOK COVER◆Surfs Up (Collecting Longboard Era◆Mark Blackburn◆Schiffer Publishing (USA)◆山中初志◆ミニチュアボード作家・自由研究家◆どうぞご自由にカバーを開けてみてください。思いとは裏腹に、タマネギの皮をむくようなもどかしさが募ります。なかなか肝心の中身が見えてきません。「起承転結」の展開を取り入れて、少し遊んでみました。

温故知新◆初等科裁縫（上）◆文部省◆大日本図書株式会社◆山本せい子◆古布収集家 ◆ 幕末から明治初期のおのと思われるお雛箱を手に入れました。雛箱はかなり痛みがあり、そこに古布を貼り、中置を箱等を足し、裁縫箱にみたてブックカバーとしました。

漆で作った『うるしの話』 + The Book of URUSHI ◆うるしの話◆松田権六 +【英文版監修者=室瀬和美】◆岩波文庫 +一般財団法人出版文化産業信仰財団◆吉澤正◆画家◆漆の木を使って面白いものが作れないかと考えた。漆だけで作り漆刷毛や檜べラを入れ、色漆を使い楽しい雰囲気の装丁を心掛けた。漆の木を提供していただいた浄法寺町の漆組合に感謝しています。